Live in Malaysia 2019 ④

Flat Sucks

マレーシアライブ 2019 春

ツアーレポート④

 

 

Tempang Recordsのハディとケニ。

 

真ん中がハディ、右がケニ

 

 

このふたりのFlat Sucksにかける情熱はすさまじい。ただの優しいヤツらというわけではなく、私たちの音楽をしっかり聴いた上で、これはいい! と思い、自分たちのレーベルから私たちの音源を出し、ツアーTシャツを作り、ライブを組んでくれた。今まで何度世話になったかわからない。

 

 今回もハディにはTシャツ作りを頼んでいた。日本から持っていくより断然ラクだし、縁のあるやつに作ってもらったほうが良い。

 

 

 久しぶりに会ったハディは少し太っていた。となりには気の強そうな、でもかわいらしい女性。名前はリサ。こりゃあ幸せ太りってやつかい。そしてケニにもついに彼女ができた。ヒジャブをかぶった大人しい感じの女子だった。かおりのことをバンドのマネージャーかなんかだと思ってたらしく、「いや、わたしベーシストですねん」と言ったらたいそうおどろいていた。みんなで40枚のTシャツを一つ一つ袋に入れたり、その他の物販の準備をしたりして夜が明けた。

 

 

 

 

5月1日「果てしない再会、そりゃあセンチメント」

 

 

 

 

 

長かった流浪が終わり、ようやく演奏の日々に突入する。

 

 

 

 

 今日はライブ1日目。場所はBatu Pahat。

 

 

 

 

ハディの車でKLの長距離バスターミナルに着いた。しばらくするとむこうからモラトリアムヒゲ男子と小動物風38才児がやってきた。ひろきとひろしである。

 

左:ひろき(ドラム) 右:ひろし(ギター)

 

 

これでようやくFlat Sucks全員がそろった。ハディに別れを告げ、マレー人たちにまじってバスに乗り込んだ。

 

車内では、私ではきっと受け止めきれなかったであろう話をかおりがひろきにずっとしている。すなわち恋愛など。「でもな~、セックスっていうのは双方向的なアレがソレで……」「たしかにそうだろうけど、精神のピートの中で憤然とタウンゼントで……」「わかるわー。要はダイナミックなダイムバックがダレル……」

 

 

二人旅から解放されてよかったねかおり。対するおれとひろしは、流れる車窓の景色から一向に途切れないヤシの木の生態について語りあい、結局おれたちはヤシには勝てない、という結論を導き出していた。

 

 

 

 うだるような暑さ。

 

 

バトゥ・パハのバス停につくと、ヒゲの生えたギョロ目のパンクスが話しかけてきた。主催者のワン君だって。ようやく会えたな。

 

「Wan、今回はほんとありがとう。」

「こっちこそ、いろいろ遅くなってごめん。あとうちのバンド共演できなくてごめん」

「しょうがないだろ。ボーカルの仕事の都合でしょ?」

「そう」

「まあ今度日本にライブしに来なよ! たのしいぞーきっと」

 

ライブ会場への道

 

 

 炎天下の中ぞろぞろ歩いて、今日の会場、The Wallに着いた。とたん、いろいろとアレな匂いがした。いろいろとアレな顔をした男たちがのんびりしている。と、よく見ると前回、前々回会ったことあるよね、君! うわーなつかしいなあ! あっ、ウダさん!(ここの店長。2014年フラサクとKLでBad Ideaというバンドで共演した)

 

 

真ん中のメガネおじさんがウダさん。ほかにも全員会ったことあるやつ。

 

 

最高の笑顔! なになに、嫁はんが手作りフード大量に作った? それを? ライブ中フリーフードとして置いとく?! 出たなホスピタリティおばけ!! 相変わらずだなあ! 「カオル! マレーシアに3回も来るバンドなんてなかなかいないぜー!」 ギャハハハ、ランラララ!! スーーーーーー、ララ……、ゴホッゴホッ……。

 

 

まどろむひろきと主催者ワン。    

 

 

 

 というわけで極上のひと眠り、ライブ前に起き、軽くメシを食い、5,6人客がやってきたなーと思った午後9時ごろ、ゆるりと1バンド目がはじまった。良質メロディーオルタナ。こりゃあいいや。次はクサメタル系クラストバンド。だんだんイカつい客が増えてきた。えっ、もう次おれら? あっそうなん、平日だから3バンドね。了解。

 

 

オルタナグランジ美メロバンド、Muddled

 

 

クサメタルクラストバンド、Desecrate

 

 

 会場にはデカい扇風機がひとつ、ドラマー用に小さいのがひとつ。こりゃあ地獄の暑さだなあ、と思いながらセッティングしていると、2014年の初マレーライブinジョホール・バルで世話になった面々が! ジョホールからここまで60キロくらいは離れているのに、わざわざ来てくれたのだ。

 

かおりと同じ髪型で身長も同じくらいだったから「わたしたち双子だね」と意気投合していたリンちゃん。

 

かおりとリンちゃん     

 

 

彼女も今では結婚している。その相手がこれまた当時私たちと共演したバンドのドラム、カーメン。彼の運転で今日ここまで駆けつけてきたのだという。実に5年ぶりの再会にちょっと泣きそうになる。

 

私はけっこう彼女のことが好きだった。やはりまだまだ男が多いマレーシアパンクシーン。イスラムの戒律はそれほど厳しくないとはいえ、女子がこういう場にいるのはまだ市民権を得てはいないのだろう。でも、そんなの知ったこっちゃないと心の底から音楽を楽しむ彼女。決して「誰かの女」というあのライブハウスにありがちなポジションでなく、純粋な音楽ファン。ふるまいでわかるよね。そういうの。まあそりゃ惚れるでしょ。

 

 

 

 

 そんなドラマチックな心情でやったライブが悪いわけがなかった。客は目を輝かせて俺たちを見ていた。汗にまみれて細かいところはメンバーの誰も覚えていない。でも手ごたえはあった。

 

 同時に、改善点もいくつか見つかった。あと2日、絶対に最高のライブをしなければならない。

 

 

 さあ反省会だ、と思う間もなく打ち上げ地獄(天国)に突入。物販もけっこう売れ、CDのブックレットにサインなんかせがまれちゃって。あげくにかわいいマレー女子から、「私のYOUTUBEチャンネルのためにコメントお願いします!」なんて言われてヘラヘラ動画撮影。「ハロー、ウィーアーフラットサックスフロムジャパン! テリマカシー!!」なんつって。ライブハウスの外ではテンションの冷めやらない群衆たちが酒に次ぐ酒、談笑に次ぐ談笑。

 

リンちゃんかわいすぎ……

 

 

「ウダさん、あんたはこの店のオーナーでしょ? ってことはもうけとかあんの?」

「もうけ?? あるわけないよ! 楽しいからやってるだけ! お前らと同じ!!」

「そっか。そうだな。……ねえ、なんかおれ友達すごいいっぱいいる」

「そう。お前は、お前らはこんな片田舎でも会いに来てくれる。それがうれしい。ありがとうな」

「こちらこそ。奥さんの手作りフードうまかったよ、ウダさん」

「そう言ってくれると妻も喜ぶよ」

 

 

 

あしたも移動とライブだ。酒はもうやめとくか。なら、コレは? いや、ソレもいいや。

 

 

今日が過ぎたらまた何年か会えなくなるんだから。

 頭がこんがらがって英語も怪しいが、もう少し話を。した。

 

 

 

 

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