Live in Malaysia 2019 ②
Flat Sucks
マレーシアライブ 2019 春
ツアーレポート②
4月27日「おれたちはいったいなにをしにきたんだ?」
MALAYSIA到着!
ただいま、クアラルンプール!!
ねばりつく大気よ、人の世のはかなさよ!!!
かおる&かおりの珍道中はマレー半島西海岸の街、マラッカ(Melaka)から始まる。
深夜のエアアジア機内でオフラインマップを見ながらああでもない、こうでもない、けんけんがくがく会議は踊り論議は紛糾、本審議も来期国会に持ち越しか、と覚悟までしたすえ、ようやく決めたのである。しかも私とかおりの座席は磁石のN極とS極のように最果てのディスタンス。よくやったもんだ。マラッカ万歳。
ライブの初日はクアラルンプールより東南に240キロのバトゥ・パハ(Batu Pahat)という街。
どちらかというとシンガポールに近い。だからマレー人たちがすすめてくれた東海岸に行ってキレイな海を堪能したかったのだが、そうすると移動がかなりタフになってしまう。さらに、「ライブは見れないけどお前らに会いたい!!」というクアラルンプール在住マレー人らの熱望に答えたいのであまり遠出はしないでおく。
よって、KLIA(クアラルンプール国際空港)からバスで行けて、なおかつ旧市街などが有名なマラッカに行くことにした。いわゆる観光である。
その場その場で行き先を決め、しかもせわしなく移動するというこのスタイル、かおりは果たしてついてこれるかな? と思いきや、
「マラッカ! うん、なんか良さそうじゃん!」とすぐ順応。
さすが、もう9年もバンドを続けているだけあって、お互い相手がどういうふうに動くのか、何に惹かれるのかが少しはわかってきた。そしてそれを「おもしろい」と感じ、相乗りすることができるようになった。
やはりはじめから、趣味嗜好・人生についての考えなどがある程度似ていなければここまで長く続けられていないだろう。……いや、それは嘘だ。危ない。運命論者になるところだった。ごめん。
私とかおりは「趣味嗜好・人生についての考え」が似ていたのではない。人よりも少しだけ疑うことを知っていて、人よりも少しだけ周りに合わせて生きるのが苦手で、どうやっても曲がりきらない自我をあんまりおさえたくねえなあ、と考えているところが似ていた。似ている。その中で数えきれない対話を重ねてきたからこそ、似た考えになることもあるし、でももちろん相いれないほど違う考えを持つこともある。それがどうした。アーメン。
3列シートの超快適バスに乗って、飛行機×深夜移動の疲れを癒す。冷房ガンガン。かおりはサンダルを脱いで丸まってネコみたい。
昼12時ごろに着いた。
赤い。
適当にホテルに入って空き室がないかと尋ねるも、ことごとく満室。さすが一大観光地。
それもそのはず、例の「I💛MELAKA」Tシャツ、デコレーション過多な三輪タクシー、カネの匂いをかぎつけたやろうどもの多いこと。そして白人、中国人を筆頭に観光客の多いこと。
かおりのSIMフリーケータイを駆使して、近場にいい感じのホテルを見つけてチェックイン。その名もKARIM CT GUEST HOUSE。カリム(夫)とシーティー(妻)が切り盛りしている。必要なものはないか、部屋の冷房はちゃんとつくか、とかこまめに聞いてくれる。いい夫婦だった。
左から:かおり、DESTRUCTION、CT、かおる
教会や寺院など、まあそこそこの観光をして、あとはひたすら食べた。夜は蠣のオムレツ、ワンタンミー、そしてビール、ビール、ビール。
翌朝は小籠包、ピータン、肉まん、エビ焼売、お粥、そして上品な中国茶。
豪華な朝食
あれ、中国料理じゃん! という声が聞こえて来るが、NON NON、これは中華とマレーの奇跡的融合料理なのだ。まいったか。
かおりはマレーシアの伝統衣装、ニョニャ・クバヤに興味津々。色鮮やかで緻密な刺繍に惚れてしまったのだ。服飾店を何軒もハシゴして、あれでもない、これでもない、緑だ、水色だ、いや、赤だなどとやっていた。店員が早く買わせようとあれこれ出してくるが、かおりはしっかりたっぷり熟考。
ニョニャ服
天井の大きなファンがぶるるるる。ゆっくり流れるマレー時間の中で、私は「早くしろよ」などとはまったく思わず、にやにや後をつき従うだけだった。
「かおるって沼だよね」
「ぬま?」
「人の話への共感能力が沼」
「テリマ仮死」
質問:いつになったらバンドの話が出てくるの?
答え:宇宙から地球を見たことがあるか? ないだろう。坊主、つまりはそういうことだ。