東南アジアツアー3、バンコク

冷房がガンガン効いている夜行バスでマレーシアを出国したのが昨日のこと。眠い目をこすりながらも国境は難なくクリア。微笑みの国、タイランド入国!!

午前6時ごろ、タイ南部の都市、ハジャイでバスを降りた。ここからバンコクまで、機材一式持ってマレー鉄道で一気に北上する。出発は夕方。また宿には泊まれず、二等寝台でゴトゴト揺られながら寝るのだ。だってライブあさっての夜だもん。前日くらいダラダラしたいよね。

一説によると、いや、事実なのだが、このハジャイという街では今年の五月に爆弾テロがあった模様。人口の多数を占めるマレー系イスラム教徒住民の一部がタイからの独立を求めてテロを起こしているんだってさ。

これは一年前にも思ったことだけど、トルコのようなとても親日的で旅人に優しい国でさえ、クルド人を虐殺していたりするんだよね。どっちが本当の○○人の気質っていうもんじゃなく、どっちの面も本当なんだよね。

 人間って集団になると怖い。あの気弱な日本人だって、集団になると個の意見なんか黙殺して突っ走るもんね。

とにかく、数時間ハジャイにいてタイマッサージとかやってもらってると、そんなことは忘れちまった!

 寝台列車は遅れに遅れ、12時間以上かけてやっとバンコクに着いた。

おやおや、冷房に加え無理な移動のせいかノドがけっこー痛いぞ……。

今回は遊びじゃないんで、バックパッカーの聖地カオサンへは行かず、

ルンピニー公園周辺の宿で、四人で一泊800バーツ(2400円)のわりと快適な部屋に泊まった。しかしこの区域もやはり空気はゴミゴミし、タイの安タバコをバカバカ吸うもんだから、喉の痛みや熱っぽさが全く引かない。

 当日、ギリギリまで寝てようと思い、三人が近くのホテルで199バーツ食べ放題やタイマッサージに出かけてもどこ吹く風。それに俺の根っからの貧乏性がそんな贅沢を許さないのだった。

  こんなガラガラ声で叫べるのか?  いつだったか、同じような状態の時に無理して叫んで、後半声が全く出なくなってたじゃないか。あれは相当惨めだった…。客の白けた目線…。海外来てまで「風邪気味なんでそこんとこ汲んでね…」なんて死んでも言えない。薬局で買ったトローチのような、なんだかよくわからない薬をなめるなめるなめる。

  いざ、出発の時間。熱は多少下がったようだ。マッサージから帰ってきてツヤツヤしてる府抜けどもとタクシーに乗り込み会場へ。ちなみに後でわかったのだが、ここで相場の倍くらいの料金を取られた。俺としたことが、一人旅じゃないからって油断してしまった!

  Fatty’s barに着くと、ほら、入り口にもうパンクスどもが!「日本のフラットサックスか? よろしくな」みたいなことを言う。任しとけ!とは言ったものの体調がなあ…。とりあえず始まるまでチャンビールでも飲んでおくか…。
ここはマスターがアメリカ人らしく、白人がわらわら集まってくる。しかしタイっ子も負けてはいない。ていうかこんなに人が入って大丈夫なのか?
一番目はメロコアっぽいバンド。Pistols 99。ふんふん、まあ結構レベル高いじゃん。二番目はミスフィッツのアメリカンサイコとかやってたJIMMY Revolt。緑の髪がかっこいいね。ヴォーカルがいい。徐々に人が入りきらなくなってきた。入り口のドア越しに人垣が。ざっと60人くらいいるんじゃなかろうか?やべえぞ、下手こけないぞ。
三番目は我らが佐野さんがギターを弾く、TSOS。佐野さん以外はフランスだかどっかの人たち。ニューヨークハードコアガッシガシですげえパワフルだし曲も潔い。いつかパクろう。
四番目はディスチャージ大好きっ子たち、THE DIEHARDS

ボーカルは鋲ジャンに赤モヒカン!気合い入ってるう!するとどうでしょう、外で見てたゴリゴリパンクスたちが人を押し寄せてなだれ込む。

俺は見た。その有象無象の中でもひときわ輝くモヒカンガールを。

か細い身体によくフィットした革ジャン、スラリと長い足を強調させるロングブーツ。そして目鼻立ちのくっきりした、天使のような顔!側頭部は豹柄、モヒカン部は金髪。君はアレだな、何やっても似合うんだろ。おじさんがフェミニンなお召し物を買ってあげようね。

 彼女ばっかり見てたのであまり覚えてないが、良いバンドでした。ハードコアなのにギターがめちゃくちゃ上手い。

次は黒人女性がボーカルの多国籍バンド、DEADTOWN TRASH。俺は外にいたのであんまり見てない。ていうかもう途中入場できないくらいの混みっぷり。でもなんかボーカルが胴上げされてたのは見えた。おいおい、みんなすっげー盛り上げてんぞ。

  そしてバンコクの特攻隊、Lowfat!のっけから圧巻。まずドラムス、トッピーの音圧、手数がヤバすぎる。佐野さんはもう人にまみれてよく見えない。と思うと隅の机に乗ってたりする。うわーどうしましょ。やるしかないか。
直前になると、なんかアドレナリンのおかげで上手いこと行くような予感がしていた。喉も耐えられそう。いつものようにやろう。俺が気持ちよくのたうち回れるようにしっかりな、楽器隊!
最初の二、三曲はまずまず。ていうか狭すぎて俺の十八番、駆けずり回りができない!もう観客に突っ込んじゃえ!いてて!マイクどこ!!あれ、盛り上がってんのか、これ?
我らが最大級のヒットソング、「おひるね」ではみんなやはり笑顔。ポップセンスって、大事ですね。速くなるところでもうわちゃわちゃ。動けねえならジャンプだ!と後半戦は誰よりも高くジャンプしてました。つられて客どももぴょんぴょん。バスケ部で良かった。かおりちゃんは日本でやるより断然楽しそうに、全身でベースを弾く。滝口もなんか頑張ってたっぽい。ひろきも。
最終的にモッシュ、ダイブなどなど、たいへんなことになっていました。興奮した客が俺のマイクを奪って叫んでいます。君知らないでしょ、俺らの曲。僕たちは、一体良かったのか悪かったのか釈然としないまま、巻き起こるアンコールに答え、力尽きました。

客や共演者の反応を見ると、どうやら成功だったみたい。そりゃあ文字通り全員駆け抜けたもん。声も割と無事だし、良かった良かった。
その後は写真撮ってー!の嵐。サインしてー!もちょっとあった。スターってこんな気分なのね。モヒガールともしっかり撮りました。名前はピンちゃんていうんだって。パンクで女性ベースが珍しいらしく、ピンちゃんはかおりちゃんにしきりに話しかけている。俺は割って入る。さりげなく肩組んだりする。良い夜。

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